「渓流で採ってきたイワナを池で飼っても、イワナは池から飛び出て、川に戻ろうとする。静かな池は自分が生きたい場所じゃないと思うのだろうな。だが、それは昔のイワナの話だ。今のイワナは、池で飼ってもそのままいる。どうやら昔と違って、飛び出す元気がないようだ」。 今では、田舎でも草取りの作業を省くために、畑だけではなく、野原や道路沿いにも農薬が多く散布されています。また車が頻繁に走っており、空気も昔とは違ってきています。 つまり環境全体が、健康な命を育めないほど弱ってしまっているのでは……? イワナの話はふと、そんなことを思わせました。 たとえば、ほうれんそうに含まれている栄養分が、年々、減ってきていることも、土地が弱っていることと関係していると言われています。 ビタミンCは、ビタミンの中でももっとも重要な栄養素で、強力な抗酸化成分としても知られています。 1950年の『日本食品標準成分表』を見ると、ほうれん草のビタミンCは、100gあたりの含有量は150mg。それが32年後の1982年には、半分以下の65mgに、そして2000年には35mgに……! 健康な大地が健康な野菜を育む |